凶悪 (ある死刑囚の告発) | |
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凶悪・三上静男
(死の錬金術師) |
死刑囚・後藤良次
(殺人請負人) |
凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫) |
(「新潮45」編集部が動かなければ闇に葬られたかもしれない)
【上申書・第1の事件】大塚某さん殺害。99年11月、茨城県石岡市の焼却炉で遺体を処分。 【上申書・第2の事件】倉浪篤二さん殺害。99年11月、資産家男性を拉致し山中に生埋め。 【上申書・第3の事件】栗山裕さん殺害。唯一、立件された事件。事故死をよそおい殺害。
凶悪・死の錬金術師(茨城の死神)三上静男 関連年譜 | |
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1950? [s25?] |
三上静男、報道された年齢から逆算すると、生年は昭和25年前後ではなかろうか。 |
1958/07/24 [s33] |
後藤良次、栃木県宇都宮市簗瀬町で三人兄弟の次男として生誕。 |
1982年 [s57] |
三上静男、日立市内に「三上商事」を設立した。最初は経営も順調だったらしいが、バブル崩壊もあり、 設立から10年したころに経営はたちゆかなくなった。 そこで、いわくつきの土地を手がける不動産ブローカーに活路を見出したようだ。 |
1990年11月中旬 [h02] |
後藤良次、対立していた住吉会系の組長を射殺。一年後に逮捕されるが、有力な物証がなく、不起訴処分。 殺人を犯しても、うまくすれば立件されないと、後年、凶行を重ねる遠因となったのかもしれない。 |
1994年11月 [h06] |
後藤良次、群馬県警に、暴力行為、銃刀法違反、覚醒剤取締法違反などで逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けた。 |
1998年09月 [h10] |
後藤良次、仮釈放で出所後、宇都宮に戻り、その後、旧友がいた水戸市に流れていったそうだ。 |
1999年05月 [h11] |
【自殺偽装殺人事件】(2007年、上申書とは別の殺人を新たに自供)
後藤良次は、宇都宮市内で知人の自営業者(当時47歳)を絞殺。首吊り自殺に見せかけたと自供。 当時、後藤は自営業者に金を貸していたとされ、自営業者には1000万円の保険が掛けられていた。 |
1999年秋頃 [h11] |
後藤良次、この頃に旧友の紹介で知り合ったのが、その後、「先生」と仰ぐことになる、死の錬金術師・三上静男だった。
死神・三上静男の薫陶を受け、不動産関連の仕事で、貧乏ヤクザの頃とは一転、羽振りのいい暮らしをするようになり、 わが世の春を謳歌したそうだ。羽振りのよさの裏側では、凶悪な犯罪行為のオンパレード。 |
1999年11月中旬 [h11] |
【後藤良次上申書・第1の事件(大塚某さん殺害)】
三上静男、大塚という60歳くらいの男性を殺害。 後藤良次は遺体遺棄を手伝い、死体を同県石岡市内の焼却場で焼いた。 |
1999年11月中旬 [h11] |
【後藤良次上申書・第2の事件(倉浪篤二さん殺害)】
埼玉県大宮市(現さいたま市)の倉浪という男性を茨城県北茨城市内に生き埋めにして殺害。 |
2000年4月 ~6月 |
【後藤良次上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)】
茨城県阿見町廻戸(あみまちはさまど)の内装店(カーテン屋)経営の栗山裕さん(当時67)糖尿病や肝硬変などの治療のため入院。 退院後に家族が仲介者を通して、三上静男に栗山裕さんの殺害を依頼か? |
2000年7月 [h12] |
栗山澄江ら家族3人は工務店経営の知人(後に交通事故で死亡)に「(栗山裕さんを)病死を装って死なせてほしい」と依頼。 |
2000年7月中旬 [h12] |
水戸市内の三上静男の事務所に栗山裕さんを迎え、8月12日まで、ほぼ連日、焼酎などを飲酒させた。 |
2000/07/30 [h12] |
【水戸殺人事件】(茨城県警管轄)
30日未明、後藤良次(当時42歳)は、ムショ仲間だった斎藤正二さん(当時33歳)に面子を潰されたと激怒して、 仲間の元暴力団員・小野寺宣之(当時33歳)と共謀して暴行。その後、両手両足を縛り簀巻きにして、那珂川に投げ込んで殺害した。 |
2000/08/12 |
【後藤良次上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)】
12日深夜には、茨城県日立市内の三上静男の自宅で栗山裕さんの口に酒瓶を押し込むなどして アルコール度数の高いウオツカを飲ませ、呼吸不全にさせて殺害した。 |
2000/08/15 | 栗山裕さんの遺体を発見(当初、自殺として処理される) |
2000/08/22 |
【宇都宮マンション死傷事件】(栃木県警管轄)
21日、宇都宮市一条のマンション「双葉ハイム」201号室(小堀展史さん宅)にて死傷事件発生。 飲食店従業員小林潤美さん(24)が死亡、小堀展史さん(37)と稲見旬子さん(31)は胸などを 刺され重傷、中村勝さん(37)は胸に軽い怪我を負っていた。 宇都宮中央署は捜査本部を設置。 関係者の話から宇都宮市出身、住所不定、暴力団組幹部後藤良次容疑者(42)を殺人未遂、放火容疑で指名手配。 調べによると、後藤容疑者は小野寺、浦田、沢村容疑者と共謀、小堀さんの自室で約三時間半余り、小堀さんらの手足をひもなどで縛り、 刃物で胸などを刺したうえ、灯油をまいて火をつけた疑い。小林さんの死因は、司法解剖の結果、急性薬毒物中毒の疑いがあり、 無理やり覚せい剤を多量に注射されたらしい。中村さんが自力でひもをほどき、水をかけて消火したという。 |
2000/08/30 |
【宇都宮マンション死傷事件】(栃木県警管轄)
栃木県警、後藤良次容疑者ら4人(小野寺、浦田、沢村)を逮捕。 (後に、後藤らが三上のところへ殺しの報酬を受け取りにいく途中で逮捕されたことが判明) |
2000/10/29 |
【後藤良次上申書・第3の事件関連】
栗山澄江ら親族は、茨城県鹿嶋市内の信用金庫で、通帳2通を不正取得。 |
2003/02/24 [h15] |
【後藤良次、水戸事件/宇都宮事件一審判決】
宇都宮地裁は後藤良次に死刑、小野寺宣之に無期懲役、 浦田大に懲役12年、沢村勝利に懲役10年の実刑判決。 |
2004/02/24 [h16] |
【後藤良次、水戸事件/宇都宮事件二審判決】 東京高裁は一審判決を支持して後藤の控訴を棄却。 |
2004年10月 [h16] |
三上静男が面倒をみると約束していた後藤良次の舎弟分・藤田幸夫が自殺。 |
2004年11月 [h16] |
後藤良次、娑婆で舎弟分・藤田幸夫が自殺したことを知り、三上静男に「約束が違う」と怒りの手紙を送る。
怒りの手紙を受け取った三上静男は、暴かれていない犯罪を暴露されるのを恐れて、証拠隠滅に走ったようだ。 |
2005/02-03 [h17] |
後藤良次、2月から3月にかけて、東京拘置所内で上申書(後に茨城県警に提出)の原型を作成。 |
2005/10/17 |
後藤良次の弁護士(大熊裕起氏)が茨城県警本部に上申書を提出。同日、正式に受理された。
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2005/10/18 |
「新潮45」11月号発売
誰も知らない「3つの殺人」――首謀者は塀の外にいる! 「凶悪殺人犯」の驚愕告発 |
2005/11/01 |
茨城県警、東京拘置所にて、後藤良次に対する最初の事情聴取をおこなった。
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2005/11/18 |
「新潮45」12月号発売
続・誰も知らない「3つの殺人」――まだあった!「第4、第5の殺人計画」 |
2005/12/09 |
茨城県警が三上静男を強要容疑で逮捕。
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2005/11/25 |
茨城県警が栗山澄江ら被害者の親族5人を詐欺容疑(預金通帳を不正取得)で逮捕。
逮捕者は栗山澄江(妻)、栗山久美子(長女)、栗山光明(長女の夫)、中村基且(栗山光明の実兄)、中村好子(基且の妻) (本丸[三上静男]に行く前に、外堀を埋めにかかったというところだろう) |
2006/12/31 |
殺害依頼の仲介役と見れる工務店経営の男性(仮名?山田正一)が常磐道で事故死。
後藤とカーテン屋の家族とこの男性で守谷のSAで今後の相談というか打ち合わせをした帰りの事故だったという話。
忘れられない怖い事件139件目 172- どこかに過去ログ落ちてない? |
2007/01/20 | 「新潮45」編集部 『凶悪 ある死刑囚の告発』発売 凶悪―ある死刑囚の告発― (単行本) |
2007/01/26 |
茨城県警、栗山裕さん殺害の容疑で、三上静男、実行グループ(後藤良次、小野寺宣之、沢村勝利、浦田大)、
依頼した家族(栗山[妻]、栗山久美子[長女]、栗山光明[娘婿])の8名を逮捕。
県警は同日付で捜査本部を設置。上申書にある他の2事件についても捜査(後に断念)。 |
2007/03/14 |
水戸地裁(山野幸雄裁判官)は14日、死亡保険金が振り込まれた口座を不正に開設したとして詐欺罪に問われた鹿嶋市林、工務店経営、
中村基且(58)と妻好子(54)の両被告に対し、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡した。
判決によると、2人は共謀して同市内の信用金庫で00年10月19日、基且被告と好子被告の兄名義で口座を開設し、 通帳2通、キャッシュカード2枚をだまし取った。栗山さんの家族は、それぞれの口座に保険金500万円ずつを振り込んでいた。 |
2007/07/26 |
水戸地裁(河村潤治裁判長)、上申書殺人事件(栗山裕氏殺害)で殺人依頼をした家族3名の判決公判。
妻澄江被告(75)と長女久美子被告(50)に懲役13年(求刑懲役16年)、同被告の夫光明被告(52)に懲役15年(求刑懲役18年)。 |
2007/08/31 |
後藤良次が茨城県警に上申書を提出して発覚した同県阿見町廻戸の内装店(カーテン屋)経営、栗山裕さん(当時67歳)殺害事件で、
殺人と詐欺罪に問われ、水戸地裁で有罪判決を受けた栗山裕さんの家族3人が控訴を取り下げた。
同地裁によると、澄江被告は28日、光明被告が30日、久美子被告が31日に拘置先から取り下げた。 被害者の長女の夫光明被告(52)の懲役15年、妻澄江被告(75)と長女久美子被告(50)の懲役13年の判決が確定した。 |
2007/09/28 [h19] |
【後藤良次、水戸事件/宇都宮事件上告審判決】
最高裁は後藤良次の控訴を棄却して死刑が確定した。 尚、小野寺宣之には無期懲役が確定。 |
2007/12/19 [h19] |
後藤良次、茨城県警の調べに対し「宇都宮市で99年に知人男性を殺害した」と新たな殺人への関与を供述したことが分かった。
男性の死亡について栃木県警は当時、自殺として処理していたが、事実関係の再確認など捜査を始めた。
供述によると、後藤被告は99年の初夏ごろ、仲間と共謀し、宇都宮市に住んでいた当時40代後半の自営業の男性を殺害したという。 |
2009/02/26 [h20] |
【三上静男、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)第一審判決】
水戸地裁(鈴嶋晋一裁判長)、三上静男に求刑通り無期懲役を言い渡した。東京高裁へ控訴(後に被告側が控訴棄却)。 |
2009/06/30 [h20] |
【後藤良次、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)の判決】
水戸地裁(河村潤治裁判長)は、後藤良次に懲役20年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。 (刑法51条は、死刑が確定した被告に懲役や禁固などの刑は執行しないと定めている) |
2009/08/24 |
【三上静男、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)控訴審判決】
東京高裁は、一審の水戸地裁判決(無期懲役)を支持、三上静男被告の控訴を棄却する決定をした。最高裁へ上告(後に棄却)。 |
2009/10/28 | 「新潮45」編集部 『凶悪 ある死刑囚の告発』文庫本(10万部を超えるベストセラーになった)発売。 凶悪―ある死刑囚の告発― (新潮文庫) |
2009/12/22 |
三上商事(三上静男)勝訴裁判 根抵当権抹消「借金、時効で消滅」地裁判決
無期判決被告側が勝訴 2009/12/23(水) 11:02:39 日立市相田町、三上静男被告(60)が代表清算人を務める「三上商事」(解散)が、北茨城市内の同社所有の土地(上申書で 「男性を生き埋めにした」とされた土地を含む)を巡り、県信用組合を相手取り、根抵当権の抹消を求めた民事訴訟の判決が22日、 水戸地裁であった。都築民枝裁判官は県信組に根抵当権の抹消を命じる三上商事側勝訴の判決を言い渡した。 |
2010/03/03 |
【三上静男、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)上告審判決】
三上静男被告(60)の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は、三上被告側の上告を棄却する決定をした。 無期懲役とした1、2審判決が確定。 |
2010/03/17 |
【後藤良次、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)の控訴審判決】
東京高裁(若原正樹裁判長)は、懲役20年とした1審水戸地裁判決を支持、後藤死刑囚の控訴を棄却した。 |
2011/12/22 |
フジテレビ、「奇跡体験!アンビリバボー:凶悪事件スペシャル」放映。
奇跡体験!アンビリバボー:凶悪 ーある死刑囚の告発ー - フジテレビ 奇跡体験!アンビリバボー 衝撃映像&あり得ない実録事件の真実2時間SP 凶悪事件特集の中、23分[23:40]経過したあたりから「凶悪」となる。 番組の中で芸人が「映画みたいだ」と感想を漏らしていたが・・・、2013年映画化。 |
2011/12/22 |
地元民の情報によると、三上静男邸は昨年まで「空家」だったが、先々週、違う「表札」になり、灯りがついていたそうだ。
茨城県日立市民の皆さん、お話しましょう! Part173 |
2012/02/20 |
【後藤良次、上申書・第3の事件(栗山裕さん殺害)の最高裁】
最高裁第二小法廷、古田祐紀裁判長、被告側上告棄却。懲役20年が確定。 (主犯格・三上静男の無期懲役が確定して、ほぼ目的を果たしたということになろうか) |
2013/09/21 | 映画『凶悪』公開。白石和彌監督。脚本は白石和彌/高橋泉。出演はピエール瀧、リリー・フランキー、山田孝之、池脇千鶴。 映画『凶悪』公式サイト |
誰も知らない「3つの殺人」――首謀者は塀の外にいる! 「凶悪殺人犯」の驚愕告発
【凶器は警察の不作為】(無能警察官は詐欺師の手先?) 訴訟詐欺は時効のない刑事事件 | |
表看板は不動産業者(宅建業者)、裏家業はアオサギ(不動産絡みの詐欺師)という凶悪は、三上静男だけではない。 葛飾のハイエナ、藤沢のジャッカルなど 日本全国に極悪詐欺師は蔓延っている。殺人事件さえも見過ごしてしまう怠惰な警察、凶悪な詐欺事件など見逃すのが当然なのだろうか。 |
もともと、新潮45編集部「凶悪」は、発行時点で人物名を実名のままいくか、仮名を使うか、慎重に検討したようだ。そして映画化に際して、徹底的に仮名を使うことにしたようだ。 先生(三上静男)は木村孝雄(リリー・フランキー)、須藤良次は須藤純次(ピエール瀧)。「新潮45」は「明潮24」。原作では氏名を明かしていない記者は藤井修一(山田孝之)。原作では登場しない記者の妻、藤井洋子(池脇千鶴)。上申書のうち唯一、立件されたカーテン屋(内装業)も電気屋となっている。 事件ものの記者ということから氏名は伏せられていたが(2011年12月放映の「奇跡体験!アンビリバボー:凶悪事件スペシャル」では仮名・片岡となっていたが)、映画の公式サイトでは宮本太一氏の名前が記されている。まあ、前から公然の秘密みたいみたいものだった。当サイトでは当人の意思を尊重してきたが、解禁になったらしい。